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2026.02.13
お知らせ
カクテル・オーケストラ…IT業界のネーミングは面白い
エンジニアの世界には、少しだけユーモアがある。
無機質なサーバー群に、なぜか「マティーニ」や「モヒート」といったカクテルの名前が付いていたりする。
プロジェクトコードが「Old Fashioned」だった、などという話も珍しくない。
機械室の奥で動く仮想サーバーに、なぜ洒落たバーの香りが漂うのか。
理由は単純で、覚えやすいから、そして少し楽しくなるからだ。
一方、AIの世界に目を向けると、今度は音楽の香りがする。
「オーケストレーター」
「キュレーター」
「コンダクター」
どれも本来は芸術や文化の領域にある言葉だ。
だが、分散したAIモデルやツール群を束ねる役割を説明するのに、
“コントローラー”よりも“オーケストレーター”のほうがしっくりくる。
複数のAIエージェントが、
それぞれの役割を持ち、
タイミングを合わせ、
衝突せずに動く。
それは確かに、オーケストラだ。
最近よく耳にするエージェント・オーケストレーションという概念もそうだ。
単一の巨大AIがすべてを担うのではなく、
計画するAI
調査するAI
実行するAI
検証するAI
が連携する。
まるで楽章が分かれた交響曲のように。
そして「キュレーター」。
これは美術館で作品を選び、文脈を与え、展示する人のことだ。
AIの世界では、
大量の情報やモデルの中から最適なものを選び、
意味づけし、
ユーザーに届ける役割を指す。
技術の世界は冷たいようでいて、
実はとても文化的だ。
私は思う。
ITとは、時間・距離・速度を超える技術であると同時に、
人間の比喩や感性を借りて進化してきた世界でもあるのだと。
カクテルも、オーケストラも、キュレーターも、
本質は“調和”である。
混ぜる。
束ねる。
整える。
IT業界のネーミングは、実に正直だ。
そしてどこか、少しだけロマンチックだ。
そう思いながら社内の仲間を見ると、不思議なことにイメージが湧いてくる。
「あいつはジンみたいだな。切れ味がある。」
「あの人はトランペットだ。場を一気に明るくする。」
「彼はコントラバスか。目立たないが全体を支えている。」
何だかんだと勝手な比喩が頭に浮かび、
人の見え方まで少し変わってくる(笑)。
技術も、組織も、結局は人の集合体だ。
だからこそ、カクテルやオーケストラのような言葉が自然と根付くのだろう。
私はこの業界が好きである。
